019. 奥戸ふみさん(会社員)

この番組は、TCK(帰国生)の就職や仕事を選ぶ際のヒント集としてお届けします。元TCK経営者・社会人10年以上の先輩に、日本における「仕事」の選び方や多文化経験の活かし方をお聴きしています。

【本日のゲスト】
 会社員 /  奥戸 ふみ さん

【元TCK(Third Culture Kids):奥戸 ふみさんのお話】

“仕事として来たものは全てやる!自分自身が分からないので、とにかくやってみる。

ふみさんは、日本・兵庫県西宮生まれ。8歳(小学2年生)で英ロンドン・リッチモンドに引越されます。8-12歳の約4年間、異文化体験をされた元TCKです。当時、現地校に通い始めたふみさんは、英語は喋れず外国人が怖いと3ヶ月学校に行けなかったそうです。しかし、ある日、賛美歌を歌ったことが友人に褒められ、急に打ち解けた転機がありました。その日から天国のように楽しい生活に一変しました。イギリス生活は総じて、完全にイギリス人になろうとしていた「ファンタージの世界に浸る自分」がいたと振り返られています。そんな少女が日本への帰国が決まり、実際に飛行機に乗って窓の外を見た衝撃を披露して下さいました。TCKの特徴である自分の居場所探しのエピソードが、ふみさんのストーリーにも確かに存在しています。

イギリス・ロンドン時代

ふみさんの職業はレコード会社(営業)よりスタートします。大学時代、同時通訳の学習経験よりフリーランスへの道に傾いていたところ、まずは日本企業勤務の経験が大事と父親の勧めがあったと仰せです。その後、航空会社CA、SONY勤務(翻訳)、起業、子育て、英語教師など数々の経験を重ねておられます。「自分は日本語と英語の架け橋になりたかった」との発言どおり、絵本翻訳が大きな転機でした。日本語の奥深さを知り、リズム感や繊細さに敏感になるにつれ、日本語を負担に感じる自分がいました。最後には、日本語が上手く操れない自分を許せるようになったと仰せです。現在はWileyジャンパン(学術出版社)でアソシエイト・アメージング・エディターをされています。

“TCKとして、これから成し遂げたいことは何ですか?”というTCKであれば頭をかすめる根源的な問いも質問させていただきました。「バイリンガリズムの研究のため、博士課程に進みたい。バイリンガルの脳についても研究したい。そして、バイリンガルは珍しいことではなく、ナチュラルであってよいことを伝えていきたい」と将来の夢も語っていただきました。ふみさんの飽くなき追究は続きます!

若いTCKへのメッセージとして、「仕事として、TCKは翻訳者より通訳者の方が向いていると思う」とお言葉もいただいています。若いTCKの皆さんに参考になると思います。是非お楽しみください!

【配信者】
社)育ちネット多文化CROSS
代表・臨床心理士 初田美紀子