015. 黒川健さん(経団連米国事務所)

この番組は、TCK(帰国生)の就職や仕事を選ぶ際のヒント集としてお届けします。元TCK経営者・社会人10年以上の先輩に、日本における「仕事」の選び方や多文化経験の活かし方をお聴きしています。

【本日のゲスト】
 経団連米国事務所 交渉担当ディレクター /  黒川 健 さん

【元TCK(Third Culture Kids):黒川 健さんのお話】

いつかはアメリカに戻りたい!と決めていた”

健さんは、日本・兵庫県生まれ。2歳で米カルフォルニア州に引越されます。2-5歳サクラメント、5-9歳サンフランシスコ、9-11歳ロサンゼルスと州内でも異動され、合計約10年間、異文化体験をされた元TCKです。現地校での生活は特にイジメや嫌がらせを受けることもなく、穏やかに過ごされた少年時代です。日本に小6で帰国すると、初めての日本の学校生活に違和感はあるものの、帰国である自分を隠す必要性や、逆に尖って見せる衝動も感じなかったと振り返られています。日本でも同様に穏やかに過ごされ、中学・高校・大学と日本で進学卒業されています。

健さんの職業は、日本の銀行よりスタートします。「アメリカに戻る」計画の一環として、先進国駐在の可能性が高い就職先を選択されます。アメリカ行きを諦められない健さんは、自分で行動する必要性を感じます。銀行を辞め、アメリカン大学大学院(American Politics)を専攻し、ワシントンD.C.に渡られます。元々大好きだったアメリカ政治に没頭された大学院生活ですが、在学中に興味を覚えた「ロビイング」を仕事でも手掛けたいと卒業後は、アメリカのIT業界団体に所属され、11年間ロビイングに精を出されます。自分らしいキャリアを構築される中でも、さらに自分のバックグランドも使いたい!と思い始めます。日本人の付加価値を体現するかのように、現職の経団連米国事務所に場を移され、日本企業のサポート、つまり日米の懸け橋のお仕事をされています。

“TCKとして、これから成し遂げたいことは何ですか?”というTCKであれば頭をかすめる根源的な問いも質問させていただきました。「日本企業の良さ、日本の貢献度をアピールする方法をさらに模索し促進し、アメリカにおける親日派を育てていきたい」と大きな目標も語っていただきました。

若いTCKへのメッセージとして、「キャリア構築の上では、日本や対象としている国を外側から俯瞰して視野を拡げた帰国生の強みのみならず、自分の好きなことを追及し、それをキャリアに結び付けていくことが大事です。急ぐ必要もなく、機が熟したら必ず道は拓けていくと思います。」とお言葉もいただいています。若いTCKの皆さんに参考になると思います。是非お楽しみください!

【配信者】
社)育ちネット多文化CROSS
代表・臨床心理士 初田美紀子